山と谷だけ?!転びまくりのIT・BPR・DX 第5話


IT活用担当ヘッダー

コロナが今のように日常化する以前、未知なるウイルスにただただ世界がおびえていた20年度初め。最初の緊急事態宣言発出と同時に当社は営業を休止、社員の出勤も停止しました。そんな中、総務・経理の社員2名だけは年度と月次の決算や取引先への支払業務などがあり、毎日ではなかったものの、出勤を続けざるを得ない状況でした。

あとになって当時の心境を聞いてみたところ、やはりあの状況下で出勤することに対して、少なからず怖さを感じていたとのこと。同じ職場の社員にこんな思いをさせてしまった原因となったのは、紙とハンコ文化。

当社は、お世辞にもペーパーレスが進んでいるとはいい難く、経費精算と電子契約以外、ほとんどの手続きが、なんの疑問も持たれずに紙とハンコでおこなわれています。社内の回覧しかり。取引先からの請求書の一部はオンライン化されています。しかし、基本は紙が主流。請求に対し支払いを起こすための伝票も紙。これを根こそぎ変えて、二度と社員に同じ思いをさせないぞ!という決意も私のモチベーションにつながっています。

業務で使うツールの開発・改善要望を集約するアプリをリリースしているもののなかなか浸透、活用には至らず。「こうして欲しい」「ああして欲しい」と積極的な要望を上げてくるのは、前述の総務・経理の社員のみで、その要望レベルはなかなかに高いもの。それだけ業務の改善余地が大きいと切実に感じているからなんだろうと捉えています。

紙ばかりの古式ゆかしい会社といえばそれまでですし確かのその通りではあるのですが、最近はこれが「宝の山」に見えてきました。要するに「やるべきこと」、「できること」だらけなのです。勝手な想像ながら旅行業界全般や、すべてとはいわないまでも一定数の中小企業はどこも似たり寄ったりではないでしょうか。IT拒否症の社員も少なからずいることでしょう。

こういった業界、企業では、イノベーター理論でいうところの、「レイトマジョリティ」や「ラガード」に分類される層の社員の構成比が、理論のモデルよりもやや大きいのではないかと個人的には考えています。広く世間で認知され、それが当たり前になったのを見届けてようやく受け入れるか、最初から完全拒否か。スマホの登場後、世間に浸透していくまでの経過や時間の流れがこれのわかりやすい事例でしょうか。

真っ先に飛びついた人、早い段階で切り替えた人、周りがみんなスマホになってから切り替えた人、今でもガラケーにこだわっている人。業務環境のデジタル推進においてもまったく同じ分類になるわけです。

たとえそういう環境であったとしても、受け入れられ、使ってみよう、便利だと感じてもらえるようにするには、知識やスキル以前の、説明やコミュニケーションといったヒューマンタッチの部分がより大切なんだろうと考えるようになりました。プログラミングなどITのスキルアップよりもはるかに重要度は高い。

現在、ウェブアプリケーションからのデータのバックアップや、マイページから決済されたクレジットカードの決済情報を取得し、アクセス権を制限した非公開フォルダに格納するプログラムを毎日自動で動かしています。処理が正しく完了すると通知が飛ぶフローを作ってあり、朝起きて一番最初にその通知を確認するのが日課になりました。365日、正しく処理がおこなわれていることを確認し胸をなでおろす毎日。

Windowsにはタスクスケジューラという機能があって、設定したスケジュールに従ってプログラムを自動で動かせることを以前駐在していたSEから聞いていたので、使い方を調べてすべて自分で設定しました。なんでもかんでも外部に丸投げせず、できることはすべて自分たちでやってみると決めたことで、年間数百万円の経費削減につながっています。

IT化が進めば、同時にセキュリティリスクも当然高くなります。その一方で、世の中のセキュリティ人材は圧倒的に不足。まだまだ学習は道半ば(というか休眠状態)ですが、この分野の知見をもっともっと深めることで、世の中への貢献度を高めていきたい。

昨年度まで外部に委託していた社内OAの特権アカウントの操作ログやアクセスログの収集と監視を、今年度から内製化しました。資産管理ツールを使ったログの収集はなかなか面倒な作業なので、収集はRPAツールを使って自動化させるフローを作っています。自分がやるのはチェックだけ。作業はロボットにお任せ。

素人でもできることはたくさんあって、自分でできることが増えれば増えるほどお金もかからなくなりますし、それを応用すればさらに活用範囲が広がっていきます。素人からスタートしてまだ素人の域は出ていませんが、だからこそ、できない方や、やりたいけどやり方がわからず外部に丸投げして歯がゆい思いをしている方の気持ちが理解できると思っています。そういう立場で、誰かのお役に立つことができれば本望かなと。

ここまで約2ヶ月、毎週月曜日をめどにIT活用担当として記事を投稿してきました。しかし、当社の本業は旅行業。旅行情報の中にIT活用の情報が混ざることへの違和感を抱くようになってきました。今回をもって、IT活用担当としてのIT関係の投稿を終了、次回の屋久島最終日の記事をもって、すべての投稿を終了しようと思っています。

とはいえ、終了するのは当ウェブサイトでの記事投稿のみ。IT活用の取り組みはまだまだ続けます、というか、個人でおこなっている副業がどんどん活発になってきていて、社外での実践の場が広がっています。副業のマッチングサイトに上がってくる案件のうち、私が見ているのは「RPA」「スクレイピング」「自動化」のキーワードに一致する案件のみ。

つい先日も、「これならできるかも」と思いながらもだめもとで応募した案件が契約に至りました。「CSVのデータをウェブサイトに自動で登録するマクロを作って欲しい」という案件だったのですが、「RPA」の利用と「成果物の納品だけではなく、ご自身でのメンテナンスできるようになっていただくためのマニュアル作成とオンラインでのサポートをします」と提案したところ、これが受け入れられたようです。

いろんな案件を見ていると、簡単そうなものからプロのエンジニアでなければできないようなものまで、様々な「自動化案件」が並んでいます。どこまでいってもポイントになるのは、ちょっとした修正でも誰かにお願いしなければならないのか、自分でやれるようになるのかの選択。ITを活用しきれない方々のための支援事業が、いつの日か「JTBグランドツアー&サービス」の「サービス」部分の主力に育つことを願って、筆をおきたいと思います。

IT活用担当(旅と関係ないことしか書きません)

業務改善にお金はかかりませんし、有料RPAツールを使わなくても業務は自動化させられる。素人のおじさんがどうやってそれを実現させようとしているのか、実例とともに紹介していきます。

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