国王の意地が生んだパスタとフォーク革命


パスタといえばイタリアを代表する食べもの。

元々は中国の麺を起源とし、13世紀にマルコポーロがイタリアに伝えた麺がパスタになったと言われていますが、実際はもっと古くからあったようです。


かつてパスタは庶民の食べもので、実は素手で食べていました。麺を頭上にかざして下からすするように食べていただため、行儀の悪い食べかたとして受け止められ、貴族には到底受け入れられなかったのです。

ルネッサンス時代、メディチ家のカトリーヌがフランスに嫁いだ際、多くのイタリア料理をフランスに持ち込みましたが、パスタ料理が伝わらなかったのはこのような背景があります。


18世紀後半になると、無類のパスタ好きのナポリのフェルディナント王が登場します。ある日、宮廷料理として振る舞いたいと言いだしたため、「素手で食べる料理なのに何事か!」と周囲から大反対されました。品の無い庶民の料理など、到底受け入れられるものではなかったのです。


しかし、国王は諦めません。どうしても提供したい。そこである臣下にどうにかならないかと相談します。相談を受けた臣下はあらゆる方法を考えます。素手で食べる訳にはいかないのでナイフを使ってみたが、うまく巻くことができない。次にフォークを使ってみるが、やはりうまく巻くことができない。それもそのはず、当時のフォークは肉を刺すための二本歯で、先端も尖っていたのです。


二本歯では歯の間隔も広くて巻くことができない。

「では、歯の間隔を詰めたらどうなるか?」→ 歯にパスタが引っかかるようになる。

「パスタが引っかかるよう歯の本数を増やしたらどうか」→ うまく引っかかった。

更にフォークの大きさを改良して生まれたのが、現在のテーブル・フォークだったのです。これにより、パスタはイタリア料理でも格上げされ、ディナーコースでも振る舞われるようにもなりました。


国王の意地からできた4本歯のフォーク。

食べもの、侮るなかれ・・・。


イタリア_ウニのパスタ

(イタリアにて、ウニのパスタ 撮影:渡部)

岩井六朗(いわい ろくろう)

いつも無骨に全力投球。JTBグランドツアーでの添乗回数も多く100回を超える。お客様にお配りする「旅の想い出」のイラストを心をこめてていねいに描く意外な面も。

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