5月、熊野古道ハイキングのツアーに添乗したときのお話です。
南紀白浜空港を出て専用バスで20分ほど高速道路を走り、その後国道(R42)に下りると、右手に海が広がりました。
初めて見る南紀の海。太古の昔の火山活動を示すような黒々とした岩の海岸線が続き、なんかアイスランドみたいだな~と思いながら車窓に流れる風景を見つめていたとき、バスガイドさんが「まもなく串本町を通りますよ」と教えてくれました。
>橋杭岩。串本から大島に向かい、大小40余りの岩柱がそそり立っています。
1890年(明治23年)、明治天皇の謁見を終えた使節団一行を乗せ、トルコに戻る途中だったエルトゥールル号が、折からの台風による猛烈な波と強風により串本沖で座礁しました。500人以上の犠牲者が出る中、当時の串本(大島)の人々の不眠不休の救助活動により、69人もの命が救われました。
この出来事をきっかけに日本とトルコの間に厚い友情が結ばれることとなりました。トルコでは、エルトゥールル号の話は小学校の教科書にも載っていて、授業で必ず習うそうです。トルコは親日的な人がとても多いのですが、こんなところにも理由があるようですね。
また2015年には、日本・トルコ友好125周年を記念して作られた合作映画「海難1890」が、日本でも広く上映されました。(私も観ましたよ!)
>イスタンブールの夕景。ちょうど夕刻のアザーンが流れ、夢のようなひとときでした。
「串本町を通りますよ」ガイドさんのその声を聞いて、ここがあの舞台なんだ!と感慨深かい気持ちになりました。
旅をしていると、何でもない所でバラバラだったジグソーパズルのパーツがカチッとはまる瞬間があります。今回もその瞬間を感じました。
もしかしたら私は、その瞬間に出会いたくて旅を続けているのかもしれません。
>アジアとヨーロッパをつなぐボスポラス海峡の夕景。遠くに見える第2ボスポラス大橋は日本の企業によって建設されました。
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